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懐中電灯におけるルーメンとカンデラ、照射距離との関係性について

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いつも弊社のブログをご覧頂き誠にありがとうございます。本日は製品についてではなく、懐中電灯の性能表示であるルーメンやカンデラについてご説明したいと思います。ライトを選ぶ際に「自分はどのようなライトを探しているのか」その一つのヒントとなれば幸いです。

 

LEDを光源とした懐中電灯が今ほど一般的ではなかった頃、何ワットのLEDを使っているかを商品の謳い文句にしているメーカーが多くありました。ワットとは電力(ワット)=電圧(ボルト)×電流(アンペア)のこと。ワットが大きければそれだけ明るく光ると言うのは間違っていませんが、電池で光る懐中電灯の場合、ワット数が大きいことは必ずしも良いことばかりではありません。

 

懐中電灯は無尽蔵に電力が供給されるわけではありません。限られた「電池」という電源を使用して作動しているので、省エネ且つ明るく光ることが望まれます。つまり、ワット数は小さく、より明るく光ることが重要です。


ルーメンの登場と普及により明確になり、そして分かり難くなった?
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ワットに代わって明るさの指標として登場したのが「ルーメン」です。ルーメンは漢字で「光束」(こうそく)と表記されます。正直、ルーメンが何たるかを調べるよりも、「光束」の方がイメージしやすいですね。光の束数が多ければそれだけ明るいことが想像できると思います。

このルーメンの表記の普及により明るさの指標が分かり易くなったかに思われましたが、実際にはさらに分かり難いものになってしまったかも知れません。

 

というのも、ルーメン値が大きければ「明るく、遠くを照らすことが出来る」と思っているユーザーの方が多いからです。しかし、「明るさ」と「照射距離」は必ずしも比例の関係にありません。LEDという光源は従来の人工光源である白熱電球や放電管を利用したH.I.Dなどに比べ「全く飛ばない光」なのです。つまり、LEDの光をある程度遠くに飛ばすには「リフレクター」や「レンズ」と呼ばれる光学装置が必要となります。従来の懐中電灯もそれらの光学装置を使用していましたので基本的には構造に大きな変化はありませんが、LEDを光源とすることでそららのパーツの性能がより重要となりました。LEDの進化は光学パーツの進化、工夫をさらに発展させております。

 

ルーメンとは光源から放たれる光の総量であります。しかし、どれくらい光が広がり、どの程度の距離を、どれくらいの明るさで照らせるか、、、という問いにはこの数値だけでは答えることが出来ません。あくまで参考値の一つになります。昨今はこのルーメンが一人歩きし、「ルーメン至上主義」的な認識を持ったメーカー、そしてユーザーが多いのが実情です。ルーメン値がそのライトの性能の全てであるような認識をもってしまうとライトの選びを失敗してしまうことがあります。

 

なお、ストリームライト社の製品は積分球(Integrated Sphere)と呼ばれる計測装置にて、ライトにLEDを実装した状態で計測しています。従いましてLED単体の性能を表したものではありません。LED単体で計測したものをバルブルーメンと呼び、ライトに実装したものよりも明るい数値が出てしまいます。

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では、次にどのような数値を参考にすればよいのでしょうか?一つに照射距離があります。ストリームライトは海外製の製品になりますので「BEAM DISTANCE」と表記されることがあります。照射距離を示す値は具体的に「何メーター」と表記されることが殆どです。この数値はストリームライト社はもちろん、多くのメーカーで採用されている米国の工業認証規格ANSI/FL1 STANDARDを根拠とします。この工業規格が普及する以前は明るさの計測がバラバラでおおよそ有り得ない数値が示された製品が市場に溢れておりましたが、それを是正する目的でアメリカで作られ、日本国内の企業もこの規格に準拠したテスト、計測を行っています。この規格による測定方法では、そのライトによって照らされた一点が0.5ルクス(※)になる距離と定められています。また、後述のカンデラ(cd)値と正比例関係にあります。 ※ルクスは照度の単位で0.5ルクスは暗闇でかろうじて新聞の字が読める程度の明るさです。

光源から放たれた光は距離が伸びるに従って次第に広がり、空気中のチリや水蒸気により減光していくため、最大の照射距離では明るさをほんとど感知することが出来ない程度になってしまいます。対象物の色にもよりますが、照射距離にある数百メートル先が0.5ルクスで照らされていても、時によっては肉眼で捉えること自体が困難な場合もありますので、この照射距離は目安程度だと思ってください。

 

 

「明るさの総量」と「最大照射距離」が分かったことで、そのライトが近距離用なのか、遠距離照射用なのかが分かってきます。

 

そしてもう一つ、そのライトの「性格」を読み取れる数値があります。性能表記では「cd」と表記されます。これは「カンデラ」という数値で、ある一方向にどれだけの光がでているかを示すものです。従って、比較的ルーメン数の低いLEDを使用した懐中電灯でも、反射鏡や光学レンズで非常にタイトな光線に集光することにより、カンデラ値を大きくすることができます。「非常にタイトな光線」ですので、照射距離も長くなることは想像に容易なことと思います。

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懐中電灯においては、カンデラ値が大きいと言うことは光が集光され、光軸が細いことを意味します。つまり、一点に光が集中しますので近距離で使用すると「眩しい」ということになります。どれくらい光が集光されているかをライト同士で比較するには最も分かり易い数値です。カンデラ値と照射距離は正比例関係にあり、数式により換算も可能です。つまり、ルーメン数に関わらずカンデラ値が大きいライトは最大照射距離も長いので、その配光特性を想像しやすくなると思います。ライトによっては可変式の光学システムを搭載したものがあり変動する可能性のある数値ですが、最大照射距離と併せて参考にしたい数値です。

懐中電灯選びの重要なニーズの一つに「ユーザーからみてどのように光が見えるか」というのがあると思います。もちろん、使用する環境や状況でその見え方は異なりますが、結局のところルーメンも照射距離も「実際どのように見えるか」想像するための数値に過ぎません。比較的近くの広範囲を照らす場合はルーメン数に比べてカンデラ値や最大照射距離が小さい散光タイプが使いやすく、逆に遠方を照らす場合にはルーメン数が大きくカンデラ数や最大照射距離も大きな集光タイプが必要になってきます。集光タイプのハイパワーライトを近距離で使用すると、中心光の強さで周囲が逆に見えにくくなってしまいますので注意が必要です。

 

数多くのストリームライト製品を扱う弊社では製品スペックのみならず、実際の照射画像も含めお客様の欲しいビジュアル的な情報をこちらのブログ等にてご紹介していきたいと思います。どうぞご期待下さい。

 

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