防災用のライトはどれが良いか?ストリームライト製品から選んでみました
ルミテック日本A
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本日は特定の製品ではなく、防災に必要とされる灯具を、場所や状況別にご紹介していきたいと思います。
そもそも、防災用具として「どんなライトがいいですか?」というご質問頂くことがこれまで何度かございました。正直申し上げて、非常に難しい質問でした。なぜならば、ストリームライトの製品は、タスクやジョブを完遂するためのプロフェッショナル向けの灯具であり、防災用を全面に打ち出した製品は存在しないからです。もちろん、ストリームライトには、消防レスキュー隊員が使用する専門的なライトは扱っておりますが、それと一般の方が想像する「防災用」とは、大きく用途も、性能も異なります。
東日本大震災を経験したからこそ、「本当に必要なものは何か?」という問いに、この7年間真剣に考え続けて来ました。
私たちは東日本大震災の後も、熊本地震や洪水、土砂災害など、自然の脅威の中で日々日常を暮らし、いつ何時、災害に遭遇するとも限らない状況に私たちは置かれていることを実感しています。災害に遭うのが自宅なのか、職場なのか、通勤、通学途中なのか、それを予測することも出来ません。すべての状況に適した灯具は存在せず、場所、状況に応じた備えが必要だと考えるに至りました。
【ダイナモライトは必要か?】
様々な防災グッズが一つのリュックなどに纏められたセット品によく入っている「ラジオ付き手回し式ダイナモライト」ですが、ストリームライトにはそのような製品はありません。ラインナップに無いからダメだという訳ではありませんが、ダイナモ充電式ライトは充電池のメンテナンスに注意が必要です。
ハンドルを回してダイナモによって発電された電力は、必ず「充電池」に蓄電されてからラジオなり、ライトに使用されます。この充電池にニッケル水素充電池が使われていることが多いのですが、頻繁に使用せずに放置しますと、過放電に陥り、液漏れや電池の膨張を招きます。普段から使っていれば、問題はないのですが、「防災用」と銘打たれたものは、普段使用されることは無く、倉庫や部屋の片隅に眠っていることが多いものです。つまり、いざ使いたいときに過放電して使えない可能性があります。このような製品は「電池を必要としない」等の謳い文句がありますが、内蔵充電池に一度蓄電して使うような製品には注意が必要です。少なくとも、半年に一回くらいのペースで、発電、蓄電、動作点検することをおススメします。
このような多機能防災ライトは、実際に便利な面もありますが、「何でも付いているので安心」という「安心」の部分を売っているようにさえ思えます。定期的に点検を兼ねて使ってみることが大切です。
自宅に用意したい懐中電灯、灯具とは?
「やっぱりLEDランタン!」と言うご意見が多いのではないでしょうか?ストリームライトにもございます。スィージシリーズです。小型で持ち出しに便利な単三電池仕様、ランタイムに優れた単一電池仕様、ランコストに優れた充電モデルの三種があります。確かに、一家に1台あれば、停電しても、避難所に行かなければならない時も、周囲を明るくすることで安心できる灯具だと思います。スィージシリーズは本格的なアウトドアユースを前提としたモデルで、ボディ全周に衝撃からボディを守るバンパーのようなゴム緩衝材が付いております。また、水に落ちても沈むことなく、屋外であっても全く問題なく使用可能です。灯りの無い場所では、LEDランタンの光りであっても、それがあるだけで非常に安心できると思います。
しかし、ランタンには苦手とするものがあります。ランタンはあくまでも定点的な用途に適したエリアライトで、周囲を照らすには便利なライトですが、ある程度の距離にあるものを照らすには向いていません。災害時にランタン一つで全ての仕事を賄うには難があります。
スィージ・ランタン
両手が使える!マルチな活躍が期待できるヘッドランプ
災害時に両手が使えることは非常に重要です。そういった意味では家庭に装備するべき灯具はヘッドランプで間違いありません。当たり前のことですが、片手にライトを持つだけで、片手がふさがります。瓦礫などで行く手が塞がれる様な環境では、両手が使えたほうが安全で便利です。ヘッドランプを家族全員が携帯していれば、先に紹介したLEDランタンは必要ないかも知れません。個人が暗所で移動、活動する上でヘッドランプが最も合理的で使える灯具と言えます。
そんな、ヘッドランプはどれがよいか?数多くあるモデルの中でも、充電池専用モデルや産業系の防爆ライトは、選ぶメリットがあまりありません。まず、充電池専用モデルは充電池が切れた際に充電をする術がありません。恐らくインフラの中で電力が一番最初に復旧する可能性があるので、充電モデルを選ぶことは無意味ではありませんが、やはり乾電池が使えたほうが安心です。以上の条件から的確と思われるモデルを3点選出しました。
エンデューロ プロ
エンデューロプロは、最も最近発売されたモデルの一つです。単四乾電池3本で使用可能なコンパクトなワンピースモデル。配光を切替えることで、明るくすることも、省エネにすることも可能。また、極力電力を節約し、暗所での行動を可能にする赤色LEDも搭載しております。
プロタックHLヘッドランプ
プロタックHLヘッドランプは、CR123A型リチウム乾電池を2本使用したヘッドランプです。このリチウム乾電池が防災向きです。リチウム乾電池は正しい保管状況にあれば、10年は放電しない乾電池です。また、外気温による影響を受け難く、極寒の地でも性能を落としません。何時どこで災害が起きるか分からない状況では、備蓄用の乾電池としてCR123Aは非常に優れた電池と言えます。また、この乾電池を電源とするライトは、日本ではまだまだ普及していません。あまり思い出したくもありませんが、震災後の乾電池の買い占めからも逃れられる可能性があります。
ダブルクラッチUSB
ダブルクラッチは、平時では充電池を使い、災害時は乾電池にシフトできるハイブリッドタイプのモデルです。操作も非常に単純で、普段ヘッドランプに触れたことのない方でも簡単に使いこなせます。明るさも極度に明るいわけではなく、ランタイム重視の設定となっています。
ヘッドランプは頭に付ける灯具ではありますが、頭から外してテント内に吊れば「電灯」となり、手で持てば「ハンディライト」にもなります。テーブルに置いて手元を照らすワークライトのように使うことも出来ます。ヘッドランプは非常に汎用性に優れた灯具と考えられます。LEDランタンだけでなく、家族全員分のヘッドランプを用意することを強くおススメします。
それでもハンディライトは持ちたい!
防災用灯具としては、ヘッドランプが最適!と言っても、「やっぱり、携帯するならハンディライトが欲しい」という方は、少なくありません。ヘッドランプを携帯するということに、違和感をお持ちの方も多いでしょう。ハンディライトを持つなら、充電池と乾電池が使い分けられるハイブリッドモデルがおすすめです。普段はランニングコストに優れた充電池を使用し、災害時は備蓄する乾電池を使用することが出来ます。ハンディライトは出来るだけコンパクトで、軽量なものが良いと思います。
プロタック2L-X
プロタック2LXは、CR123Aリチウム乾電池2本、または、18650形充電池1本で使用可能なMAX500ルーメン、2段階調光可能なタクティカルライトです。丈夫なエアクラフトグレードのアルミ合金に、ミルスペックのTYPEⅢのハードアノダイズド表面処理が施された丈夫で軽量なモデルです。2種類の電池種が使えることから、普段は充電池、災害時は備蓄製に優れたリチウム乾電池が使うことが出来ます。必要充分な明るさと、ワイドな配光、そして、細身のボディは、常に携帯することが出来るほどスリムです。普段使うバックに入れておいても、さほど邪魔にはなりません。バランスの取れたスペックとサイズがおススメの理由です。
プロタック1L-1AA
それでも、CR123A乾電池を備蓄するのはコスト的に厳しい!と言う方にはプロタック1L-1AAがあります。単三電池1本でも、CR123A乾電池1本でも使えるモデルです。広く流通する単三形のアルカリ乾電池であれば、他の機器との併用も可能なので、使い易いかと思います。明るさは、CR123A使用時よりも落ちますが、全長108mmのコンパクトボディは、ポケットに入れても邪魔になりません。身につけられるライトは、いつ何時起こるかもしれない震災に備えるのに適したライトと言えます。
デュアリー
産業用のデュアリーシリーズは、意外と防災用灯具として役立つ面があります。このライトは前方を照らすメインのLEDと、下方向にワイドに広がるサブLEDを装備していて、それぞれに独立したスイッチがあります。本来は、前方を照らしながら、下方を照らすことで、足元の安全性を高める目的がありますが、ライトを逆さまにして立てることで、サイドのサブLEDが簡易的なランタンのような働きをします。また、ボディは耐衝撃性に優れた樹脂を使用し、丈夫で軽量です。明るさもランタイム重視の設定なので、電池の交換が困難な状況にも対応します。使用電池は単三アルカリ乾電池なので入手もし易く、2本仕様の2AAであれば、普段から携帯することも可能です。
法人、公共施設等での非常用パブリックライト
震災時、学校やオフィスビルは一時的な避難場所として使用されることが想定されます。大勢の人が被災し、それらの施設に身を寄せる際、各個人に灯具を行き渡らせる事は不可能です。その際、エンジンを使用した発電機を使用した投光器の使用が考えられますが、燃料を使用した発電機は、日頃のメンテナンスと点検が必要です。そのような管理が出来る施設であれば問題ありませんが、現実には難しいことが多いようです。蓄電池であれば、それほど難しいメンテナンスを必要としません。電力が復旧するまでの一時的な凌ぎとして考えれば、大型の蓄電池を搭載したバッテリーライトは有効と思われます。
ポータブルシーン充電式投光器
ポータブルシーンは、まさにそのような用途に適した投光器です。重量は一般的な懐中電灯は異なり、非常に重量のあるものですが、重いだけに安定した設置が可能です。最大の特徴は、最大182cmまで伸びるアームにより、高い位置から広く、明るく照らすことが出来ます。また、自動車から電力を供給することも出来るので、電力の復旧に時間がかかる場合でも、それに対応することが出来ます。高い防水性を有し、屋外での使用も充分に可能な点も、防災用エリアライトとして活躍が期待できます。
EフラッドHL
EフラッドHLは、ポータブルシーンのようにアームを伸ばすことは出来ませんが、より小型でイニシャルコストも抑えられます。一般的な懐中電灯と比べると、やや重量はありますが、付属するショルダーストラップにより、携帯しての移動も可能です。こちらも自動車から給電とバッテリーの充電が同時に行えるので、バッテリー残量を気にしないで使用することができます。
バックアップライト
災害時用に様々な灯具を用意していても常に身につけておくわけにはいきません。その灯具や防災用品のあるところまで安全にたどり着く為に、必要最小限のライトを普段使う鍵などに付けておくことはお守り以上の働きをしてくれます。
ナノライト
キーライトと言えば、やはりナノライト。全長わずか37mm、重さ10gの極小キーホルダーLEDライト。これなら「ライトなんて邪魔」という方でも、身に付けていたけるものと思います。ライトは行く手を照らす以外にも、自分自身が動けなくなって救助を求める立場になった時も、その所在を他社に知らせることが出来るアイテムでもあります。警笛等も防災アイテムとしては推奨されますが、普段から使用する機会は、キーライトに比べたらかなり低いものと思われます。普段から身につけ、便利に使うことで、イザと言う時も慌てることなく行動できるようになるかと思います。
すべての防災用品を常に使用し、いつでも災害に備えることは困難です。しかし、ライトであれば、日常的に使う機会を得ることが出来ます。普段は、少し暗くても我慢していた状況でも、ライトを活用することで便利になります。震災や自然災害が起こらないことが望ましいですが、それは残念ながらありません。必ずその日はやってくることは分かっているのです。
「備える」ことは重要ですが、普段から便利に使えていれば、「その時」に自身がとる行動、意識に大きな違いが生まれると思います。私たちが考える「防災用ライト」とは、ユーザー自身がライトの特性を理解し、備蓄、携帯できるライトであると思います。